掲載誌の表紙
専攻科食物栄養専攻では、四年制大学の卒業研究に相当する特別研究を行っています。
2013(平成25)年3月に本学の専攻科食物栄養専攻を卒業した轡田大希さんと城川大さんが1年半かけて行った研究成果を、指導教員の竹内弘幸教授が学術論文としてまとめて日本農芸化学会に投稿した結果、バイオサイエンスに関する専門学術雑誌(英文)である「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に掲載されました。
研究論文詳細(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)
研究論文(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)
【研究の概要】
マーガリンやショートニングになどに含まれ、近年社会的に話題になっているトランス脂肪酸という人工的な脂肪の栄養特性に関して、ヒトを対象に試験を行いました。
トランス脂肪酸を摂取しすぎることで、血中コレステロール濃度が上昇することが知られています。コレステロールは、ヒトのあらゆる組織の細胞膜に見出される脂質であり、代謝過程において主要な役割を果たしています。この濃度が高くなりすぎると心臓病や生活習慣病の原因になるなど、健康に悪影響を及ぼす場合があります。そのため、健康に悪影響を及ぼさないようにトランス脂肪酸を摂取するために、摂取上限の研究を行いました。
研究の結果、食事などで得られるエネルギーに対して1%までの摂取量であれば、血中のコレステロール濃度が上がりすぎないことが判明しました。
なお、現在の日本人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量は、0.4%程度といわれています。
大学評価・学位授与機構に特別研究の内容をレポートとして提出し、試験に合格すると学士(栄養学)が授与されます。学位は、四年制大学を卒業して得られる学士と同等のもので、取得後は大学院への進学も可能となります。
轡田さん、城川さんの本学専攻科卒業生両名も、この学位審査に合格して、学士(栄養学)を授与されました。
特別研究は、これまでに身につけた知識を活用しながら、未知なる課題について解決方法を自ら「計画」したうえで、研究を「実施」して、そして得られたデータを「解析」することで、「結論」を導いていくものです。これまでの学びの集大成といえるものであり、今後社会に出て新しい課題に直面した際に、自ら解決する能力を養うことできます。
本学専攻科では、全員が研究成果を学会発表するなど、特別研究を教育の一つの大きな柱として、特に力をいれて取り組んでいます。